だから、言えない



だけど、今日、俺は最低なことをした。

連を裏切り、
ことちゃんのことも傷つけた。

そうだ、俺はいつも
連と自分のことばかり。

ことちゃんは俺のことを
好きでいてくれたというのに。

今俺は、二人に謝らなきゃいけない。

俺が今までしたことは、
全てが中途半端で、
二人を傷つけていた。

「優、ごめんな。
俺のせいで、優は苦しんでたよな。
でもな、お前、優しすぎんだよ」

連がうつむく俺の肩に手を置いた。

「なんで謝るの?
悪いのは俺だよ、連」
「どっちが悪いか考えるより、
俺らは竹本のことを
考えねぇといけないんじゃね?」

連が部屋の入り口の方へ顔を向けた。

「竹本は俺たち二人の大切な人だろ?
だから、まず竹本だ」

連の方がよっぽどいい男なのに、
なんで、ことちゃんは
俺なんかが、好きなんだろう。

俺はことちゃんの気持ちなんて
ほとんど考えたことなかったのに、
連はこうやって、
自分のことよりことちゃんのことを
考えてる。

「連…
俺多分…
子供のときからことちゃんが好きだよ」
「だろうな。
気づいてやれなくて、悪かった」

連は俺の肩に置いていた手を
背中に移動させると
ぽんっと励ますように叩いた。

「行ってこいよ」