だから、言えない



俺と二人で残業しているときに、
いつもと変わらない調子でこう言った。

「俺、竹本が好きだわ」

俺は一瞬何も考えられなくなって、
変な間を作ってしまった。

「……
そっか」
「優、お前、
竹本と昔から知り合いなんだろ?
元カノとか……じゃねぇだろうな?」
「違うよ」

連に好きな人の話をされたのは初めてで、
驚いたけど、
俺に打ち明けてくれたことは嬉しかった。

と、同時に、俺がことちゃんを
密かに好きだと言うことはもう、
言えない雰囲気になってしまった。


今思えば、この告白をされるまで
一年間もあって、
俺は、なんでことちゃんに
何もしなかったんだろうと思う。

きっと俺は、
自分からアクションを起こすのが
苦手なんだろうな。

毎日好きな人を見れてそれだけで満足して、
ご飯に誘ったりすればよかったのに、
何もしなかった。

後悔してももう遅い。

俺はことちゃんをこんなに好きなのに、
その好きだという気持ちを忘れようとした。

なぜなら、
俺には身を引かなければならない
絶対的な理由があったから。


それは、連が教えてくれた将来の夢。


俺がことちゃんが好きな気持ちより、
連の夢の方が大切だと思ってたから。


だけど、連とことちゃんが
話すたびに会話の内容が気になって、
連とことちゃんが二人きりになると
気が気じゃなくて、
ことちゃんが連にも
あの笑顔を見せてるのを見ると、
胸が痛くなった。