だから、言えない



ま、そんなこと言って俺は、
全部どうでもよすぎて、
好きなようにも生きれてねぇんだけど。
はは」
「連はいつも俺を助けてくれるよね」
「別に。
偉そうなこと言ってるだけだよ、俺は」
「そんなことない。
連がいなかったら、
俺はつまらない中学生活を送ってたと思う」
「俺も。優がいなかったら、
生きてる意味なんてなかったかも」


俺は、高校でも吹奏楽部を続けることにした。

父さんに怒られて嫌なことをされても、
ことちゃんとの唯一のつながりである
音楽を続けられたのは、
連のお陰。

だから、ことちゃんが、
俺の後輩になったとき、
信じれないくらい嬉しかった。


高校三年の4月。
隣のクラスの女の子に呼び出されて、
部室に行くのが遅れてしまったあの日。

トランペットパートのリーダーである橋岡さんが、
部室に入ってきた俺を急かした。

「村薗君!早く早く!
一年生一人、ペットに入ってきたよ!
ちっちゃくてかわいい子」

トランペットパートの
部屋のドアを開けると、
新しい制服に身を包んだ小柄な女の子が、
ちょこんと椅子に座っていた。