だから、言えない



それに俺は音楽が大好きだった。

物心がついたときから、
父さんは毎日は呪文のように、
勉強して、いい学校を出て、
父さんと同じ会社に入ることが
全てだと俺に唱えた。

父親と、同じ道を歩むことが、
俺の人生だと。

一才から英語を教えられ、
休みの日は父さんが横に付きっきりで勉強。

ゲームやおもちゃは買ってもらえず、
俺の楽しみは
母親が好きだったクラシック音楽のCDを
片っ端から聞くことだった。

幼稚園に入る頃には、
全ての作曲家や曲名が
分かるまでになっていた。

中でもトランペットの音に惹かれた。

マーチングバンドに入ると言ったとき、
父さんは激怒して俺を一晩家の外へ出した。

今までなんでも父さんの言うとおりにしてきた
俺だったけど、
これだけは譲らなかった。




「俺ら、高校は別々になるけど、
またここで話そうぜ」
「もちろんだよ」

中学卒業の日、
連は河原でそう言った。


「部活は?続けんの?」