「いえ!優くんは、
私にとって、目標だから!
敬ってるのです」
だけど、まだ小学生の
あどけない表情が残ることちゃんの口から、
敬語がでてくるのは
ちょっと微笑ましくて、
俺は笑ってしまった。
「すっかり中学生だね」
「えへへ」
「あれ?
さっき一緒にいた男の子は?」
「先に中へ戻りましたよ」
「ふーん。彼氏なの?」
と聞くと、
ことちゃんは急に顔を真っ赤にして、
髪を触り始めた。
「えっと…、あの…はい…」
ちょっと胸が痛くなった。
俺のかわいい妹のようなことちゃんが、
他の男の彼女になったのかと思うと、
心配になる。
「彼氏もトランペットしてて、
優くんのこと、すごく尊敬してるんですよ。
二人で優くんのファンです!」
「ありがとう。
でも、俺はことちゃんだけが
俺のファンでいて欲しいけどね」
正直、ことちゃんが他の男と、
俺つながりで意気投合したって、
嬉しくなかった。
「えー?」
「あ、冗談だよ」
「もちろん、
私の方が優くんのファンですよ。
優くんが一年生のときから、
コンクールや演奏会で
いつも見てましたから」
「え?来てたの?」
「当たり前じゃないですか!
優くんが小学生のときもそうだったでしょう?
友達のお姉ちゃんが、
吹奏楽部に入ってて、
コンクールの日程を、
いつも教えてもらっていました」
「来てたなら、
声かけてくれたらよかったのに」



