だから、言えない



俺は、襖に背を向け、
部屋から出て、
大股で廊下を歩くと隣の部屋に入った。

あいつが泣いてるのは、
こいつのせいだ。

「優!」

そのままずかずかと部屋を横断して、
窓際に腰かける優の胸ぐらを掴んだ。

「…お前…竹本に何言った?」
「…。」

優は何も言わずに、
俺から顔を背けた。

「答えろよ。
あいつ、泣いてんだろ」
「…連がなぐさめてあげてよ」
「はぁ?!」

隣の部屋に声が聞こえると
まずいと思って、
俺は、優を窓際から引っ張っると、
勢いよく窓を閉めた。

「早く答えろ。
何言った?」