襖は少し開いていたから、
その隙間から中の様子を
うかがってみると、
部屋の窓から、
顔を出してる竹本が目に入った。
そして、外の誰かと話してると
すぐに気づいた。
「…だから、
忘れないでください!
先輩は私のこと、
ただの後輩だと思っていても、
私は先輩のこと、
ただの先輩だって、思ってません」
それを聞いてすぐ、
会話してる相手が優だとわかった。
「さっきも言いましたけど、
私は村薗先輩が好きだから。
だから…
私にとって、あのキスは、
とても大切で、
忘れたくない思い出なんです…」
俺は襖にかけた手を
下ろした。
………
そっか…好きなんだ…
竹本は優のことが…



