「優はそんなことしねぇよ。
さっき三人で話してたときだって、
訳も言わず、
俺を裏切って悪かったって、
謝り倒してただろうが」
塚尾はうーんと唸ってから
しばらく黙っていた。
「俺、もう行くわ」
そう言って立ち上がりかけると、
塚尾が俺の浴衣の袖を掴んだ。
「竹本さんは佐山さんのこと
好きだと思うんですけどねぇ…」
またこいつはこんなこと言って、
俺を困惑させるつもりかよ。
「勝手に言ってろ。
つーか、離せ」
塚尾は何も言わずに手を離すと、
立ち上がった。
「あたしも一緒に戻ります」
なんで俺はこのとき、
素直にこいつと戻ろうとしたんだろ。
別々に戻れば、
あんなことにはならなかったのに。



