だから、言えない



「で、佐山くんってば、
ずーっとその滝にうたれてて、
もう修行中の人みたいでさ。
あははは!
なぁ、佐山くん?」

飯田さんが楽しそうに話を続けた。

「気持ちよかったっす」

佐山さんがそう言った。

「佐山さん、
村薗先輩はどうしたんですか?」

私がそう聞くと、
佐山さんは部屋の入り口の方を振り返った。

「もうすぐ来ると思うけど」
「君ら同じ部屋でしょう?
一緒に来なかったの?」

飯田さんが聞いた。

「優が先に行けっつったんで」

言っていたら、
ちょうどそのとき、
部屋の扉が開いて
村薗先輩が中へ入ってきた。

「村薗くん。
こっちへおいで」

社長にそう言われて、
先輩は私の前を通りすぎ、
社長の横へ座った。
その時一瞬目が合ったけど、
すぐにそらされてしまった。


先輩…
色々聞きたいことがありますよ。

なんで、キスしたんですか?

塚尾さんと、ほんとは何があったんですか?

あの後三人で、何を話したんですか?



美味しい料理を食べている時は、
ちょっと気が紛れて、
飯田さんや佐山さんと今日行った場所の話で
盛り上がった。

塚尾さんはというと、
社長と村薗先輩のところへ
何度も瓶ビールを持っていき、
二人の会話に割り込んでいる。