だから、言えない



村薗先輩と塚尾さんに何があったのか、
よくわからないけど、
私は今、これを言った方がいいと思った。

いつか後悔しないために。


「私は…
村薗先輩が好きなんです…
先輩と塚尾さんが何か特別な関係なら、
それはそれでいいです。
でも、はっきり言って下さい。
じゃないと私、
先輩のこと諦められません…」


私はうつむいて目を閉じた。
もうダメだ、
目を閉じても涙は溢れてくる。


遠くから下駄の音が聞こえて、
村薗先輩は私の手を引いて、
私たちが隠れられるくらいの太さの
木のそばで立ち止まった。

「ことちゃん?
ここなら、誰にも見えないし、
顔あげて」

私は首を横にふった。