だから、言えない



あ、もしかして、
二人がお互いを好きなのは、
職場の人たちには隠してるのかな?

ホテルのことは口止めされてるって
塚尾さん言ってたもんね。


「あ、いや…なんでもないです」

村薗先輩は何も言わずに
鯉に目線を移した。


先輩は今、
何を考えてるんだろう?

ただぼーっと鯉を見てるのかな?

それとも、塚尾さんのこと
想ってるのかな?


「専務の家はどうだったの?
楽しかった?」

かなり前の話をされて、
一瞬何のことか分からなかった。

「あ、あぁ!年末の。
楽しかったですよ」
「そ…」

村薗先輩の伏し目がちな横顔から、
私は目が離せなかった。

かっこいい…。

「連とことちゃんは、
お似合いだね」
「え?急に何の話ですか?」
「……好きなの?」