だから、言えない



あの笑顔、
もう私には向けられないのかな…


結局、私が温泉地から宿まで候補をあげて、
社長に決めてもらうことにした。


そして、社長が選んだところは
美肌の湯でもないし、
ウォーターサーバーが
あるかも分からなかったけど、
塚尾さんはなんやかんやで
楽しそうだった。


「この宿、かわいい浴衣の
貸し出しがあるらしいですよ!
竹本さん、一緒に着ましょうよ!」

決まった宿のwebサイトを
念入りに調べあげた塚尾さんが
興奮気味に言った。

「えー、部屋にあるやつでいいじゃん。
借りるのも着るのも面倒くさいよ」
「何言ってるんですか!
あたし、あんな、
おっさんと一緒の嫌ですよ」

うわぁ、面倒くさ。
それに、私自分で浴衣着れないし。

「それに、佐山さんも、
竹本さんの浴衣姿見たいですよねぇ?」
「え?」