毎日意味もなく生きてきた俺だけど、
特別な日は特別に過ごそうとすれば、
きっと今日みたいに
楽しいのかもしれない。
その後、みんな外へ出て餅つきをした。
本物の杵と臼なんて俺は初めて見たし、
もちろん、餅なんてついたことなかった。
みんな、群がって掛け声を出しながら、
順番についていく。
竹本は自分がついてるときに
写真をとってくれ、と言って、
俺にスマホを渡してきた。
「うんにゃあ、
次、佐山くん、ついてみるかぁ?」
餅をこねていた専務が
俺にそう言った。
「連くんがんばれー!」
「伊里姉、写真とっといて」
「連くーん」
子供たちの声援が飛んできた。
なんだよ、
餅つくのってそんな命がけなのか?
だけど、一生懸命
俺の名前を呼んでくれる皆がかわいくて、
にやけてしまう。
俺が餅をついてる間、
竹本は自分のスマホで
バシャバシャ写真を撮っていた。
楽しい!
いや、餅つきだけが楽しいんじゃなくて、
こうやって、
家族が集まって、
皆で年末らしいことをするのは初めてで、
それが楽しかった。



