だから、言えない



うわー。ついてけねーよ。
俺、今日大丈夫かな?
やってけるかな?

「ちょっと、みんな、
連くん、困ってんじゃん!」

さっきからちょっと離れたところで
スマホをいじっていた女の子が、
こちらに向かってそう言った。

きれいに巻かれた黒髪のロングヘアーに
前髪をかきあげる仕草は、
塚尾に似てる。

「私、伊里菜(いりな)。高2です。」
「どうも…」

うわ、気が強そうな話し方も
塚尾にそっくり。

「伊里姉ちゃんは
スマホでシャーシャーしときなよ!
俺たちはかくれんぼするぜ!
なぁ、みんな!」
「うん!」
「するー」

なんだかよくわからんが、
かくれんぼが始まるらしい。

まぁ、この家はかなり大きいから
かくれ放題だろうな。

「ことかと連くんもやろー」

かくれんぼをすると言い出した男の子が
竹本の手を引っ張った。

「私、お昼御飯の準備、
手伝わなきゃ」

竹本は男の子の前にしゃがむと、
台所を指差した。

その時、奥の扉が開いて、
女が二人中へ入ってきた。