だから、言えない



「いえ。
たまたま私たち二人だったんです」

竹本が答えた。

「去年は飯田さんだったかな?」
「そうそう」

車は田んぼ道を走っていき、
しばらくして、
大きな木造の古い家が見えてきた。

「着きましたね!」

竹本が嬉しそうに窓の外を
キョロキョロ見ている。

すっげぇでっかい家。
専務はこんなとこから
毎日出て来てんのか。
大変だな。

大きな玄関から中へ入ると、
部屋がいくつもあって、
健太さんに案内されて手前の部屋に入ると
ちょっと小さめの畳の部屋と
その奥に台所が見えた。

そして、子供たちが
ぞろぞろ俺の前に群がってくる。

「あ、ことかちゃんだー」
「ことかー!」
「ねーねー、この人誰ー?」
「きゃー!大きなお兄さん」
「ことかー、これの絵を描いてー」
「ことか、そのイケメンさん彼氏?」

うっ!俺、子供苦手…
しかもこんなにたくさん。