だから、言えない



竹本が一緒にいてくれれば、
例え、嫌なことや大変なことがあっても、
苦にならないだろうな。

それに俺のことは、
何も知らなくていい。

俺には実家なんてない。
家族なんていねぇから。


目的の駅で降りると、
白いワゴン車がとまっていて、
中で誰かが俺たちに手をふっていた。

「佐山さん!
専務の息子さんです!
行きましょ」

竹本は俺の手を引いた。

うわー、緊張する。
もう俺の人見知りが発動し出したし。

「たけもっちゃん、
久しぶりだなぁ!
乗って乗って!

君が佐山くん?
なんだい、イケメンじゃないか!
同じ人間とは思えないねぇ!」

専務の長男、健太さんは
40代前半くらいのガッチリしたおじさんだ。
建設業の社長らしい。

「父がいつもお世話になってます!
しっかし、佐山くんがこんなイケメンなんて
きいてなかったぞ!
サプライズか!?
あはは!
で、君らは付き合ってるのか?!」