「すみません、まだです…」
「そんなに時間のかかるものでは
ないだろう!」
あー…。
また飯田さんが片林さんに怒られてる。
お気の毒に。
片林さんは、
飯田さんより年下だけど、
上司なんだよね。
片林部長。
「どこまでできてるか見せてみろ」
片林さんは、自分の席をたつと、
カツカツとヒールの音を響かせながら、
飯田さんの席へ歩いていった。
「今は…ここまで…です」
「うーん?」
片林さんが飯田さんのパソコンをのぞきこむ。
「お前、計算式消してるだろ」
「…あれ?」
「あれほど言っただろう、
エクセルの計算式を勝手に消すなと」



