だから、言えない



このままずっと、
村薗先輩に避けられてるみたいな状況は
耐えられない。

「忘年会の時、
私何か失礼なことを
してしまったでしょうか?」

「別に、ことちゃんのこと、
怒ったりしてないよ」

そう言って、
先輩は私の方を振り返った。

その顔にはいつもの笑顔があった。

「でもっ!
月曜日からずっと、
私と目を合わせてくれませんでしたよ」
「そんなことないけど、
そう思わせたなら、ごめんね」

先輩の優しい眼差しが私に向けられて、
安心したのか私は泣きそうになった。

「よかったー…」

私は掴んでいた村薗先輩の袖を
そっと離した。

「ごめんね」

そう言って、
先輩は私の頭に手を伸ばしかけたけど、
ちょうど触れそうなところで、
すぐに手を引っ込めた。

「モップ、早くしないとね」
「あ、はい…」