だから、言えない



佐山さんは、遠慮がちにそう言うと、
私の方を見つめた。

どうしたらいいのかわからない
表情だったから、
ここは引っ張っておこうかな。

「佐山さん!一緒に行きましょ!
朝河家の皆さんは
ほんとに素敵で優しい方ばかりだから、
きっと佐山さんも楽しいと思います。
おもちつきも楽しいですよ」
「へぇ…」
「それに、専務のお家は大きな日本家屋で、
静かで落ち着くんです」

佐山さん…
きっと、大晦日は
一人で過ごすのかもしれない…
実家には帰らなさそうだし、
それなら、専務の家で、
皆でわいわいした方が寂しくないと思う。

「じゃあ…」

佐山さんは、そう言って、
私に一瞬笑顔を見せてくれた。

よかった!嬉しそう!