だから、言えない



「ほんとに感動しました。
里ちゃんと浅田さんも
帰りの電車でずっとその話をしてましたよ」

26日の朝、出勤したとき、
事務所の階段を上がったところで、
ちょうどトイレから出てきた飯田さんと
鉢合わせて、
一昨日のことを話していた。


「ところで、竹本ちゃん。
忘年会の後は、大丈夫だった?
気絶してたみたいだけど」
「あー…
すみませんでした」

あの事件…
あまり思い出したくない失態だ。

「いや、僕は、
迷惑を被ったわけじゃないけど、
佐山くんは竹本ちゃんを
おぶってたような気がする…」
「そうなんです。
帰れなくなって、
佐山さんの家で
一晩ご厄介になってしまいました」

そういうと、
飯田さんは目を見開いて、
小声でこう言った。