だから、言えない



私がそういうと、
佐山さんはちょっと驚いたような顔をして、
その後、しばらく宙を見つめていた。

「欲しいもの…?」
「あ、家とか車とかクルーザーとか
そういうのは無理ですよ!
常識の範囲内で」

と私が言うと、
佐山さんは少し笑っていた。

「俺、欲しいものとかねぇな…」
「えー?
ほんとですか?」
「あぁ。その代わり、
今日一緒にいて欲しいとか……
そんなのはあり?」

佐山さんは一瞬私から目をそらし、
またわたしの方を見た。

驚いた。
佐山さん、こんなこと言うんだ!

それって、
ただ一人のクリスマスは嫌だから、
誰かといたいのか、
私だから一緒にいたいのか、
どっちなんだろう…?


「すみません、
今日は夕方から予定があるんです…」
「…そっか」

佐山さんは一瞬
ものすごく寂しそうな顔をした。
その表情に、
私の胸がズギンっと痛む。