だから、言えない



村薗さんの素肌に触れたとき、
突然、強い力で肩を捕まれ、
横に押し飛ばされた。

「っ?!」

気づけば村薗さんは、
体を起こし、
横に転がるあたしを、
冷たい目付きで見下げていた。

こんな村薗さんの顔、
今までに見たことない。

「お前、俺が気づいてないとでも
思ったのか?」
「………え?」

何この冷たい声…
ほんとに村薗さん?

「今回はやりすぎだぞ、塚尾」

塚尾?呼び捨て?
村薗さんにそんな風に呼ばれたこと、
今まで、一度もなかったのに!

何この感じ…

怒ってる?
それとも、こっちが本性?

「俺のことはともかく、
今日、ことちゃんに
無理矢理酒を飲ませただろ」
「はっ?!」
「ばれてないとでも思ったか?
ことちゃんが見てないうちに、
ジョッキに足してただろ?」
「何のことです?」
「しらばっくれるな。
あの子が酔ってから、
ガンガン飲ませてたのも知ってる」