だから、言えない



「どうすんの?」

タクシーの運転手が
ラジオのボリュームを下げながら言った。

「あ、すみません、
やっぱいいです」

俺はまた竹本をおぶって、
なんとか、
ポケットからスマホを出し、
優に電話を掛けた。

あいつはきっと、
竹本の家を知ってるはず。
何度か車で送ってやってたし。

「ねーねー、佐山さん」

スマホを当てていない方の耳元で、
竹本が囁いた。

「わたし、気分悪いなぁ。
どこかで休みたい…」

あぁもう!優、電話でねぇし、
こいつは休みてぇとかいうし!

その時、塚尾の言った言葉が
頭をよぎった。

『ふふ。あとはお好きに』