だから、言えない



「あれぇ?
寝ちゃったのか、わたし…」
「お前起きたかよ。
歩けっか?」
「うーん…?」
竹本が横に体重を掛けたから
俺はバランスを崩して、よろけた。

意識は戻ったみてぇだけど、
電車で帰るのは
無理そうだな。

「お前、そんな飲んだのか?」
「ここどこー?」
「お前がこんなになるって、
初めてじゃね?」
「佐山さんなのー?」

ちっ、会話できねぇ!
これは…
なんか嫌な予感がしてきた。


タクシーを捕まえたはいいけど、
待てよ、俺、
こいつの家、知らねぇ!

「おい、お前ん家、どこ?」
「佐山さんってー、
イケメンだねぇ」

ちげぇよ!
嬉しいけどな、
今言って欲しいのはそういうことじゃねぇ!