だから、言えない



俺は竹本から渡された、
小さな箸で
卵焼きを掴んだ。

竹本の視線を感じながら、
俺はそれを口に入れた。

「うま…」
「はぁぁ…よかったです! 」

竹本は安心した顔で
自分の弁当箱を開き始めた。


ん…?あれ?

おかしい、視界がぼやけてきた。
涙?
待って、俺…泣きそう…

「ちょっと…」と言って、
俺は急いで部屋を出て
トイレの個室に駆け込んだ。


そして、声を噛み殺して泣いた。