だから、言えない



実家はここからそんなに遠くないけど、
色々あって帰れないから、
やっぱり母親の味が恋しい。

「……」

あれ?
佐山さん、答えない…。

もしかして、
私、まずいこと聞いちゃった?!

「あ、あの……」
私がそう言いかけると、
佐山さんはうつむきながら、
おにぎりを一口かじった。


シーン……


この空気、やばいかも…。

もしかして、佐山さん、
お母様がいらっしゃらないとか……。

絶対それだ。

もう!私のバカ!
表向きは分からなくても、
家庭に色んな問題を抱えている人は
たくさんいるんだから!

そういう質問は失礼なのに!

「まぁ、そうかもな…」

しばらくして、
佐山さんが小さな声でそう答えた。