海の向こうで






いつまで待ったんだろう。



私には数時間待ったように感じられたけど、ようやく鮎斗くんが戻ってきてくれた。



頬に傷をつけて。



「あっ、鮎斗くん…大丈夫?」



私は慌てて鮎斗くんに駆け寄った。



「ん、こんくらいなら」



と言って鮎斗くんはずさっと音を立ててソファーに座った。



「ただの雑魚だったから。暴走族に入っていないようなやつだし、そこまで強くなかったよ。まぁ、そんなことを言っといてここに傷作ってるけど」



「手当て、しようか…?」



私の顔がよっぽど酷かったのか、くすっと笑って鮎斗くんは



「じゃ、お願いしようかな」



と言ってくれた。