「…っ…」
首を振る私に、飛鳥は呆れた表情をする。
「だって、海華楽しくなさそうじゃん。海華が楽しくなかったら意味ないよ。また今度、出直そう」
「…」
私達はなんとも微妙な空気の中、そこを後にした。
「…」
「…」
無言が続く。
「じゃあ」
分かれ道に来て、飛鳥が片手を出した。私は小さな声で、
「…うん」
と言って、そして私たちは別れた。
明日になって、私の頭が冷えたら。
今度こそ、謝りに行こう。
…待って。
何かが私を強く引き止めた。
それを飛鳥に伝えたい。
…伝えなきゃいけないんだ。
今日のデートをぶち壊しにしてごめんなさいって。
頭が冷えたら、謝りに行きたいって。
私はくるりと振り返って、こちらに背を向けて歩いているであろう飛鳥を追いかけ始めた。
「飛鳥!」
私は彼の名前を叫んで、彼の元へと走った。
彼は振り向いてくれて、そして私を見た途端、
「どした?」
と、いつもと変わらない笑顔で尋ねてくれた。
その彼の後ろから、
「飛鳥、危ない!」
私が自分でも聞いたこともないくらい大きな声で言った時にはもう遅かった。



