海の向こうで




「だって飛鳥とかバレバレだったよ?この話するのよくないかもしれないけど、来夢って暴走族に連れ去られた時さ、飛鳥はいつもだったら暴走族としての行動は絶対しないくせに『いーから行く!』って聞かなかったんだもん。それに着いたら海と同じくらい速く走ってるし。海はかなり足が速いんだけどね。それをみて、あ、こりゃ脈ありだなって」



へええ。



あの時、飛鳥はわざわざ私のために走ってきてくれたんだ。



それを聞いてちょっと嬉しくなった。



みんなが騒いでる中で、ひとりだけ静かな人が目に入った。



もちろん、みんな騒いでいて彼には目もくれない。



「全く…ごちゃごちゃ騒いでみっともない。俺は隣の部屋を使わせてもらう」



奥の方でパソコンをいじっていたであろう彼ー嶺夜が、パソコンを抱えてぼそりと言った。



「隣の部屋は総長専用の部屋だからダメだし。海がいないからってダメでしょ」



と柚鈴。



「下だと下っ端がうるさいから隣を使わせてくれ」



「嫌だ。嶺夜もブツブツ言ってないで参加すりゃあいいじゃん」



「俺はこういうのに興味がない」



「だったら下っ端とでも遊んでれば?ちょうど最近新入りが入ったみたいだし。彼らの相手してあげればいいじゃん」



「……………わかった」



嶺夜はパソコンを大事そうにしまうと、幹部室から出ていった。



…そんなに騒ぐのが苦手なんだ。



「飛鳥!これあげるから、使うときがあれば使いなね!」



恋音ちゃんの声で私ははっと我に返った。



「え、ちょっと、え、それは、その…」



なぜかキョドる飛鳥。



私は勝手にその会話に混じり込む。



「え、なにこれ。ラムネ…?」