こう言った手前、私は早めにお財布を用意して千円札をバンとレジに置いた。
「お釣りはいらないので!」
「え…困りますよ」
と言った飛鳥の友人らしき店員さんは困り果てていたけど、そんなのお構いなしだ。
私は飛鳥の腕を掴んで、急いでバイクに向かった。
「そうだ、…さっき、バイクに乗せるの忘れてた。ごめんな」
と言って飛鳥は私をひょいと抱き上げ、すとんとバイクの後ろの席に落とす。
なにそれ、さっきの気にしてたんだ。
きゅんじゃん。
なんて思いながら、私はスマホに喋りかけた。
「ヘイSiri、近くの海まで案内して」



