海の向こうで




そういう理由だってある。



日向には本当に申し訳ない。



両親の命を奪った俺が、のうのうと生きているなんて。



日向といる時間だって、少なくなってしまうかもしれない。



けど、俺は桜龍が好きだ。



だから、ごめん。



俺に、桜龍にいる権利をくれ…。



こんな図々しい俺なのに、一緒にいてくれてありがとう。



ごめんな…。



「ごめん、重かったよな」



話が終わると、飛鳥は微笑んだ。



これまで見たこともないくらい、ぎこちない微笑み方だった。



「ううん。話してくれてありがとう」



海にも話していないことを、私に打ち明けてくれた。



もうその時点で嬉しい。



「…飛鳥」



「ん?」



「…ちょっと、寄りたいところがあるからそこ寄ってい?」



「…いいけど」



飛鳥はよく分からないと言った様子だ。



まあ確かに、ここでこういうバカは私しかいないだろう。