今までの医者なら私が拒否すると大勢で押さえつけて無理矢理やってきた。


だけど陽翔先生はそんなことはしない
それどころか頑張ってほしいってお願いまで……

こんなに真剣に私に向き合ってくれているんだから頑張らないといけないよね。


涙がこぼれてきたけど、腕を出した。


「結菜ちゃん、ありがとう。

すぐ終わらせるから目を瞑って深呼吸していて。」

そう言って陽翔先生は準備を進める。


針なんて見たら怖くて倒れちゃいそうだからずっと目を瞑っていた。


「じゃあ、チクっとして痛いけどごめんね。」


その言葉と同時に腕に鋭い痛みがはしる。


「…グスン…痛い…やめて、」


「はい、終わったよ。
痛いのに頑張れて偉かったな」


地獄の時間が終わると、陽翔先生は人さし指で涙を拭ってくれた。