口数が少なくて一見わかりづらいけれど、実は暁斗ってすっごく優しいんだ。

 小学生の時に、クラスのガキ大将で体も二回りは大きそうな子に私がいじめられたとき、私をかばって立ち向かってくれた。

 受験の時に思うように勉強がうまくいかなくて泣きそうになっていた時も、何も相談していないのに察して勉強を教えてくれた。

 そんな人が常に私の隣にいたら、好きにならない方がおかしいと思わない?

 そして現在、高校二年生となった私たち。

 私と暁斗は、相思相愛の恋人同士――と、学校のみんなは思っている。

 ……思っているんだけど。

 実際は違うんだよね。

 私たちは、みんなが思っているような関係じゃなかったんだ。


「そうかもね」


 いまだに「いいなあ、仲良くてー」「今日もこれからデートっすかー?」なんて、囃し立て続けるクラスメイト達に向かって、暁斗は言った。

 全然照れているような素振りはない。

 ポーカーフェイスな彼が何を考えているのか、いまいち想像ができない。

 暁斗は私のこと、どう思ってるのかなあ。


「じゃ、行こう花梨」

「うん」


 そう言われて、私は彼の後に続く。

 今日もやっぱり好きだなあって、こっそりと思いながら。