マジマジと見つめられて恥ずかしくなってきてしまった私は、それを誤魔化すように冗談混じりに聞いてみた。

 すると暁斗はほのかに微笑んだようだった。

 表情の変化が少なくポーカーフェイス気味の彼は、思いっきり笑うことは少ない。

 それがまた、クールでかっこいいと悔しいけれど思ってしまう。


「いいじゃん」


 はっきりと暁斗はそう言った。

 彼にとっては、何気なく放った一言だったと思う。

 だけど私はそのたった一言だけで、その場でじたばたしたくなるくらいに嬉しさがこみ上げてきてしまった。



「オ、オレンジジュースとケーキを持ってくるね!」


 それ以上嬉しさが溢れ来たら、本当にその場で身悶えしてしまいそうだった。

 私は逃げるように、教室の隅に設置してある冷蔵庫へ向かう。

 ――まったく、本当に暁斗ってずるいんだから。

 その気もないくせに、いちいち私をこんな気持ちにさせて。

 ……本当に、全然その気もないくせにさあ。

 そんなことを考えながらも、冷蔵庫から取り出したジュースとケーキを、グラスとお皿にセットする私。