付き合ってるみたいなもの、ではないと思う。

 だって、全然そんな恋人っぽい雰囲気にはならないし。

 本当に、ただの仲のいい友達として一緒に居るだけだと思うんだよなあ。


「そうだよ! むしろあんたたちまだ付き合ってなかったの⁉って感じなんですけど!」

「ええ……。本当に、そんな雰囲気じゃないんだよね……。残念だけどさあ」


 沙也加の言葉を聞いて考え込んでしまう私。

 私たちって、周りから見るとそう見えるのかなあ。

 ――もし、暁斗の隣に彼女として堂々と立てたら。

 どんなに幸せなことだろう。

 一瞬妄想して幸福な気分になりかけたけれど、暁斗にとって自分がどんな存在なのかを思い出して、すぐにそんな気持ちしぼんでしまう。

 沙也加にはそんな風に見えているかもしれないけれど、本当に所詮ただの幼馴染でしかないんだ。

 近いようで、遠い存在。

 ずっと仲が良かっただけに、関係が変わることなんてうまく想像ができないや……。

 私はため息をついて、猫のしっぽを制服のスカートに縫い付けるという作業の手を進めたのだった。