「……花梨ちゃんって、くそ真面目だねえ」

「えっ?」

 
 どういうこと?


「でも、そういうところがやっぱりいいなって思う。今時珍しくて」

「――?」


 言っている意味が全然わからなかった。

 私は瞬くんに向かって首を傾げる。

 彼の微笑みは、なぜか満足げに見えた。


「ま、とにかく楽しもっかー。ほら、こんなことしている間に順番が回ってきそうだよ」

「ほ、ほんとだ」


 いつの間にか、次のコースターが来て前回の乗客が下りたら、私たちが乗る番になってしまっていた。

 そして心の準備をする暇もなく、私はジェットコースターに揺さぶられる羽目になった。

 想像以上に高い位置から急降下するジェットコースターは、やっぱりとても恐怖心を煽られたけれど、私はなんとかひとりで耐えることができた。

 瞬くんの手のひらはずっと私から握りやすい位置にあったけれど、私は目の前にあった安全バーを握りしめ続けたんだ。