花梨は私の姿を認めると、小さい時から変わらない、華やかな笑顔を全開にして手を振ってきた。

 昨日の帰り際の、暁斗に猛烈アピールする彼女の様子を思い出してしまい、気圧された気分になる。


「う、うん。おはよう、瑠璃」


 よく考えたら、瑠璃の家も私ん家とは隣同士なんだし、学校へは一緒に行かないとおかしいよね。

 って、私すごくがっかりしてるなあ。

 瑠璃のことだって、友達として好きなはずなのに。

 暁斗への気持ちが強すぎて、瑠璃がいることに思わず落胆してしまったんだ。

 私、すごく嫌な子だなあ……。


「暁斗も、おはよう」


 ふたりの元に駆け寄りながら言う。

 暁斗はそんな私に視線を合わせて、やや間を置いてから、


「おはよう、花梨」


 と、いつものように淡々と言った。

 顔が少しだるそうなのも、いつも通りだ。

 暁斗は朝に弱いから、登校時はその特徴が顕著になる。