「スカートにしっぽ付けるの、なかなか大変だねー……」

「ほんと、あと五着かあ。今日中に終わるかなあ」


 目の前にたくさん詰まれた、スカートの山と尻尾の束を見ながら、不安な気持ちで私は沙也加と言い合う。

 放課後、西日が差し込んでいる教室の中で、私は自分と同じく衣装担当になった沙也加と一緒に、制服のスカートに猫のしっぽを縫い付けていた。

 文化祭はいよいよ明日に迫っていた。

 私たちのクラスが行うのは、軽食と飲み物を提供する喫茶店だ。

 だけどただの喫茶店じゃつまらないしかわいくない!ってことで、女子は頭に猫耳が付いたカチューシャを装着し、尻尾を縫い付けたスカートを履くという、簡易的なコスプレをすることになったのだった。

 他のクラスメイト達も準備で大忙しだった。

 男子のほとんどは明日提供する食べ物の材料や飲み物の買い出しに行ってしまったし、他の女子も美術室で大掛かりな装飾を作っている。

 現在、教室の中には衣装担当の私たちふたりだけが残されていた。


「なんとか終わらせないとね、花梨。男子も重い物運んで頑張ってるところだし、私たちも頑張ろう!」

「うん、そうだね」


 ずっと手芸をしていて手と目が痛くなってきたけれど、同じように頑張っている沙也加に励まされ、私は気を奮い立たされる。