それでおろおろしている私の代わりに、牽制してくれたんだ。

 瑠璃が暁斗にアタックするのを阻止できたような気がして安堵するも、卑怯なことをしている気分にもなった。

 複雑な気持ちになる。

 瑠璃は大きな目をさらに見開いて、私と暁斗を交互に見た後、噴き出して声を上げて笑った。


「あはは! なーんだ、そうだったのー? まさかふたりがくっついているとはね! いやー、ふたりとも昔から知っている私としては、なんだか感慨深いわー!」


 暁斗に彼女がいて、さらにそれが私。

 その事実を知っても、幼馴染の瑠璃は全然ショックを受けている風ではなかった。

 ――いや違う。

 きっと、そんなことはない。

 だって私は見てしまったんだ。

 笑い声をあげる前に、瑠璃が一瞬がっかりしたような顔になったのを。

 
「ふたりの仲を邪魔するつもりはないけどさー。幼馴染として私とは仲良くしてよね?」

「う、うん。もちろんだよ!」

「おう」


 明るく言う瑠璃に、私は慌てて笑顔を作って頷く。

 何も気づいていないらしい暁斗も頬を少し緩ませて、頷いた。

 きっと瑠璃は、今でも暁斗への気持ちが残っている。

 だからさっき、落胆したような面持ちになったんだと思う。

 瑠璃の気持ちを踏みにじるような嘘をついている自分に対して、心がちくりと痛んだ。