居場所がバレるのも、予想よりだいぶ早いし。
あたしの考えを知ってるからこそ、行動パターンを読めてしまったのか? くっそう、失敗した。
だがしかし。
兵吾郎なぞに、あたしの家出計画をじゃまされてたまるか。
一度覚悟を決めたあたしは、手ごわいぞ!
「兵吾郎、帰って」
「無理です」
「ついでに父さんを殴っといて」
「無茶です」
チッ、だめか。
兵吾郎も強情だな。
父さんに忠実だね。
「お嬢、戻ってきてください」
「いーや!」
「組長も心配しておられます」
「わっかりやすいうそつくな!」
「うそじゃありません! 幹部も総出で動いているくらいです!」
はい、ダウト。
あたしなんかのために父さんがそこまでするはずありませーん。
白雪組の幹部――通称、毒林檎の会。
実にメルヘンチックな名の集団は、あの厨二病ヤローの僕も同然。
兵吾郎もその一員だ。
兵吾郎はともかく、白雪組の中枢を担う幹部陣を、父さんが動かす? 毒林檎の会のメンバーも進んで行動する?
できのわるい娘を、連れ戻すために?
……ないない。ありえない。



