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パン、パン、と2回。
閑静な神社に拍手の音が響く。
手を合わせ、心の中で強く祈る。
そして深いおじぎをした。
賽銭箱のほうに、赤く色づいた葉が舞い散っていく。
「ついに、明日か……」
明日で、約束の1週間はおしまい。
タイムリミットだ。
ひとみが家に帰ってくることはなかった。
学校も欠席してる。
1週間がこんなに長いとは思わなかった。
繭たちもぎりぎりまで動いてくれているが、なかなか白雪組の内部を暴けずにいる。
執念でもぎとったのは、必要最低限の情報。
それだけでも十分すごい。
その情報を頼りに、俺は明日、白雪組に忍びこむ。
やっと、ひとみに会いに行けるんだ。
「こんにちは」
つと背中に投げられたのは、耳なじみのよい、あいつの声。
……と、似ているだけ。
「偶然ですね、カイウンさん」
「……秋祭り以来だな」
振り向けば、参道の右を歩く、あいつと瓜ふたつの姿。
白鳥つむぎがいた。
だが、今日は、赤羽純也の姿が見えない。
代わりにいるのは、スキンヘッドのイカした兄ちゃんだ。
「いつもの家来はどうした」
「純也のことですか? 彼は急用が入ってしまって。……彼に何か用でしたか?」
「いや……。俺の中では、2人はセットだったから」
「セット扱いはちょっと癪です。わたしはわたしとして覚えてくださいね?」



