俺が行く。
俺だけでなんとかしてくる。
自信があるわけじゃねぇよ。
自己犠牲なんてきれいなもんでもない。
俺が行かなくちゃなんねぇんだ。
じっとしてられねぇんだよ。
一歩まちがえれば、白雪組と戦争になる。
単なる情報収集と、組への潜入ではワケがちがう。
俺は、ただ、ひとみに会えたらいい。
あわよくば、そばにいたいだけなんだ。
だから。
「今あるだけの情報を教えてくれ。背負うのは、俺だけでいい」
「いーやーよー」
「ま、繭! 頼む!」
繭はしかめっ面で、俺の襟をひっつかんだ。
「いいか、よく聞け? 幽霊部員といえども、おまえは俺の仲間なんだよ」
「っ、」
「負け戦と知ってて仲間を見送る総長がどこにいる。無駄死にさせる気はさらさらねぇよ!」
しりもちをつかせる勢いでパッと襟を離すと、繭はにっこり口角を上げた。
素の口調にドスがきいてた。ガチトーンじゃん。
こ、怖ぇー……。
「みんなも同じ気持ちよね?」
「そうっすよ、魁運さん!」
「水臭いじゃないっすか」
「最後まで協力させてください!」
ふしぎなヤツらだ。
敵意も悪意もなく、俺を、死神を、見つめてる。
「みんな、カイの良さも思いもわかってるつもりよ?」
「話すと案外ふつうっすもんね!」
「好きな子のために熱くなるパイセンしびれます!」
「俺たちがキューピットなりやす!」



