本音を言や、本調子とはほど遠いし、ちょっと走っただけで息が上がる。
寝てたほうが自分のため。
ああ、耳が痛ぇよ。
だけど今は、自分自身よりも大事なことがある。
「前に頼んだことがあっただろ?」
「あー、白雪組のこと?」
あれはひとみたちと放課後、繁華街に遊びに行ったとき。
たまたま遭遇した繭に、話をつけたんだ。
『繭、実は、ひとみは白雪組の人間なんだ』
『え!? ひとみんがあのヤクザの!?』
『家出したひとみをことあるごとに狙ってきやがる。俺だけじゃ解決できそうにない』
『わかった。わたしたち神亀が協力する』
言うか言うまいか迷ったが、こうするのが一番だと思った。
相手は、有名なヤクザ。
味方は多いほうがいいにきまってる。
それから繭たちは、あらゆる手を使い、白雪組の情報をかき集めてくれている。
組そのものについて、ではなく、ひとみを狙おうとする動向を。
そのせいで、あのバイクの連中に巻きこまれたのだが。
「組のことならまだ……」
「ひとみが連れ去られたんだ」
「え!?」
「どうにかして会いに行きたい。だから、」
「独りでやる気?」
繭にはエスパーの才能があるみたいだ。



