「あ、ああ、あの……わ、わたし……す、すみま」
「怖がらせてわりぃ。ひとみのこと見かけなかったか?」
「……さ、佐藤さん?」
俺におびえてるよな。わかるよ。
いつもなら線を引いて、逃がしてやってた。
今日はそんな余裕なんかない。
なりふりかまってらんねぇよ。
「さ、佐藤さんなら、さっき……」
「見たのか!?」
「ひっ! ひゃ、は、はい……。く、車に、乗ってましたよ……」
「車? どんな」
「し、白と、藍色の……珍しい車、で、した……」
それって。
あの、白雪組の車!?
そうだ、ひとみは組のヤツらにたびたび狙われてた。
ひとりでいたところを連れ去ったのか。
こうなることはちょっと考えりゃ予想できたはずなのに。
ずっと手を離さずにいりゃよかった。
やっちまったことは取り消せない。
ならば進むしかない。
ひとみに会うためならなんだってやってやる。
「影野、サンキュ」
「あ、はい……」
東の方角へ走り去る俺に、女子3人はおずおずと緊張をといた。
「だ、大丈夫だった!?」
「痛くない!?」
「わ、わたしは、大丈夫。でも……」
「でも!? 骨折れた!?」
「きゅ、救急車……!?」
「わたしじゃなくて……彼のほうが、大丈夫じゃないみたいだった」



