『あたしは、声をかけてくれたのがあなたでよかったなって、心の底から思ってますよ』
あれも。
『汚くないよ。あたしは好き』
これも。
『あたしはね、魁運と一緒にいたい』
ぜんぶ。
何もかも見透かしたうえで贈っていた。
俺のそばで、笑っていた。
きっと、心から。
ごめん。
ごめんな。
もう遅いかな。
でも、今さらでも、信じたい。
信じさせてほしい。
ひとみのぜんぶも、好きになりたいんだ。
「最近、お姉ちゃんがさー……」
「……あ、死神だ」
「うわ、最悪」
「学校サボって何やってんだろ……」
橋にさしかかると同時に、悪意が飛んできた。
目をやると、女子3人がビクリとして身を寄せ合う。
北校の制服を着てる。
教室で見たことのある顔だ。
あいつらなら、もしかしたら……!
「なあ! 訊きたいことがあるんだけど!」
「え、え、ちょっと! 近づいてきてない!?」
「なんで!? うちら呪われる!?」
「む、むり。怖い。むり……!」
やべ、逃げられる!
とっさに女子のうちの1人の手首をつかんだ。
こいつ……クラスの学級委員のヤツだ。
影野、とか言ったっけ。



