死んでもあなたに愛されたい







日が沈んだ。



篠突く雨に、水をためるアスファルト。


ビニール傘をすべる、街路灯のうす明かり。




視界がわるい。

靴下が湿ってくる。

胃が痛い。


食べたもん半分、もどってきちまいそうだ。




栄養重視のご飯を平らげ、シャワーを浴び、親父のGOサインが出たころには、街は夜に移り変わり、雨は止むどころか増量していた。


準備している間に帰ってくることを願ったが、それもなく。




「あ、もしもし!」


『おかけになった電話は――……』




連絡もつかない。



何かあったのか?

それとも、今度はひとみが俺を拒絶して……?


急に怖くなり、携帯を落としかけた。




「……どこにいるんだ、ひとみ」




あいつの行きそうなところは……。


学校? 繁華街?

案外、神社に隠れてるってことも。
あ、白鳥家に行った可能性もあるな。


どれも当たってそうで、はずれてそう。



とりあえずしらみつぶしに回ってくっきゃねぇ!



早く、できるだけ早く、見つけたい。

会いに行かねぇといけねぇんだ。


ぜったい、俺から。



水たまりを容赦なく踏んづけて疾走していった。