後悔してる。


でも、あれが本音だった。



なに言ってんだって思った。

そんなわけねぇ、って。


わかったように言われても、ちっともわからなかった。



俺を呪ってるのが、産みの親で?

その人が俺を殺ろうとしてる?



なんでだよ。


意味わかんねぇよ。



俺のこと、捨てたくせに。

そんなヤツがどうして、俺んとこに化けて出るんだ。


呪ってやりたいのは、こっちのほうだっつの。



俺の親は、ひとりだけだ。

母親と言われてもぴんとこねぇよ。



どうせそれらしいことを言ってなぐさめようとしてたんだ。


俺にもわからない呪いを、ひとみがわかるわけがない。



信じても意味がない。

つらくなるだけ。



そういうやさしさは、やめろ。やめてくれ。



俺がふつうじゃないのは、俺自身が一番、知ってるから。




――トントン。



「あ、魁運。目が覚めたのか」




一瞬、ひとみが帰ってきたのかと思った。


……ちがった。

ふすまを開けたのは、親父だった。




「体調はどうだ?」


「もう、なんともない」


「そうか、よかったな。ひとみちゃんが3日間ほとんど付きっきりで看病してやってたんだぞ」


「ひとみが……」




俺が起きたとき、ひとみは泣いてた。顔色もよくなかった。

そうとう不安がらせたよな……。


ずっと俺のことを考えてくれて、自分のことをあと回しにして。


なのに俺、拒絶して……最低だ。