「ひとみ。見なくていい」
つと、目元にやさしい温もりが伝う。
大きな手のひらが、黒い世界にふたをする。
指のすきまから覗くのは、一番きれいな白。
「魁運……」
「俺だけ見てろ」
「っ、うん……!」
あぁ、どうしよう。
ちょっと、泣きそうだ。
好き。大好き。
「魁運、ずっと好」
「くっ……。女ごときがじゃましてんじゃねぇよ……!!」
おい、天狗鼻の男。
超いいムードだったでしょうが! 空気を読め!
ハッとした魁運は、あたしの目を覆ったまま、あたしを抱きしめた。
どえぇぇえ!?
魁運ったら大胆! ムード続行ですか!?
ドラマみたいに身をていして守るみたいな!
…………みたいな……?
……本当に、守ろうとしていたとしたら?
「かっ、魁運!」
「!?」
気づいたら、魁運も巻きこみ、無理やり後方に倒れていた。
その最中、ゴンッ!とあたしの顔に何かが当たる。
「いたた……」
何この硬いの……ヘルメット?
顔面キャッチしちゃった。あたしもだっさ。
右頬あたりがヒリヒリする。



