せっかくの妹の晴れ舞台を、最後まで観ていたかったけど。
台なしにしてしまうよりは。
あたしだけがいなくなれば。
「……、え?」
名残惜しくつぅちゃんを見上げれば、赤い光が花かんざしを点していた。
うそ。まさか。
あの異様な光線は……レーザーガン?
だ、だめだ……!!
あたしだけがいなくなっても。
あたしとそっくりな妹が、狙われてしまう!
夜風が吹き始める。
だんだんと勢いが強くなっていく。
ぐらつく火影によって、舞いおどるつぅちゃんが神秘的に灯される。
とうとう和音を風が断ち切ってきた。
あたしはこっそり境内を見渡す。
もし、父さんが手を回したヤツが犯人なら。
銃で撃ち抜き、動けなくする係と、連れ去る係がいるはず。
どこだ? どこに隠れてる?
「……あ。いた」
鳥居のところに巻き起こる、黒い渦。
10人はいそう。
連れ去る係のほうをかまっている暇は、あたしにはない。
「魁運、マユちゃん先輩!」
教えないつもりでいたけど、緊急事態だ。
ここはおふたりを頼る!
「鳥居のところに不審者が大量にいるらしいの。捕まえてくれない?」
「……わかった。任せろ」
「神亀総動員で確保するわ」
ふたりとも何も聞いてこないんだね。
話が早くて助かる!



