手の甲を見せびらかした。
爪が、ピカピカ、テカテカしてる。
明度のちがうピンク色の、繊細なデザイン。
一種のアート作品のよう。
「か……かっわいいいい! これ、前に言ってたやつですよね!?」
「そうよ~。やっと予約がとれたから、授業サボってネイルしてもらっちゃった」
「……ケンカ売られたら、取れちまうぞ?」
「そのときは足があるじゃない」
あ、やっぱ、神亀ってケンカを売られる側なんだ。
聞く限り、個性派ぞろいだし。
変な絡み方されたり、反感をかったりするんだろうな。
そのせいでせっかくのネイルがはがれたら……ムカつく。
あたしだったら、フルボッコの刑に処す。
「……あ、そうだ。俺、繭に話があるんだ」
「何かしら」
「ひとみは、あいつらと近くの服屋でも見ててくれ」
「え」
あたし、蚊帳の外? ここにいちゃだめ?
厄介払いじゃない、よね……!?
神亀内の大事な用件なのかも。
つぅちゃんと赤羽くんをほったらかしにもしておけない。
渋々、魁運に従った。
「繭、実は――……」
「え!? ひとみんが――!?」
クレープを食べ終え、おしゃれなアパレルショップに入る。
メンズとレディースの商品がそろっていた。
広々とした店内に、秋カラーが多めに並んである。



